切削加工技術者による研究会 切削油技術研究会

企業の枠を超えた技術者が集まって課題解決を図り、その活動を通じて技術者の育成、日本のものづくりに貢献。

切削油技術研究会

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活動

切技研の1年 ~ どのように活動しているか

組織の概要

切削油技術研究会(以下、切技研)は企業の壁を越えた現場の第一線で活躍する切削加工技術者(通称:削り屋)の集団です。
業種・役職・年齢を問わず、削りという同一の目的で仕事に向き合う技術者が集う場であり、現場で得た知識やノウハウを持ち寄り、調査・研究を重ねています。
同業他社や異業種を含む技術者たちが一堂に会して高め合う集団というのは、国内はもとより世界的にも例を見ません。

活動の概要

01 活動の概要

年間の活動は表のとおりです。
専門委員の任期は1年単位ですが、最低3年続けることが望ましいとされています。
削りが大好きで、継続して専門委員会や合宿、部会に出席できることが必要条件です。
そのためにはご本人の熱意だけでは不十分であり、送り出す企業の理解が不可欠です。
それらが揃うことが活動を継続するための条件となります。

専門委員会のグループ討議

専門委員会のグループ討議

活動スケジュール

例年のスケジュールはほぼ表のとおりです。
専門委員会は原則として第3金曜日に東京都内でおこなわれます。
第1回は1月に召集され、その後は定例として毎月1回の頻度です。
年頭に全員で年間の活動テーマの候補を決めます。
それが運営委員会で承認されると、12月の総会発表に向けてスタートです。

活動テーマ

テーマはトレンドや将来を見据え、取り組むべき課題を考慮して決められます。
テーマ決定後はグループ討議やアンケートの分析などを通して方向を定めます。
そこに切技研独自の切削実験が加わり、徐々に膨らんでストーリが固まっていきます。

工場見学会_2013年

工場見学会(2013年6月 日産自動車横浜工場)

夏合宿_1993年

夏合宿(1993年9月 日本生産性本部生産性研修会館)

夏合宿_2014年

夏合宿(2014年7月 IPC生産性国際交流センター)

 

専門委員会の合間には工場見学会、春の小合宿、夏合宿(7月)もおこなわれます。
特に2泊3日でおこなわれる夏合宿ではOB、運営委員、専門委員、事務局が寝食を共にし、一致団結して討議や総会に向けた作業をおこないます。
それはお互いの人間関係を深める絶好の場でもあります。

大先輩(切技研OB)の話に耳を傾ける_1999年

大先輩(切技研OB)の話に耳を傾ける(1999年8月 IPC生産性国際交流センター)

 

9月に入ると、総会の準備が加速します。
本番で配布する資料やパワーポイントの準備に追われ、運営委員による査読も始まって、切技研は総会一色に染まります。

10月以降は総会での専門委員会報告のリハーサルが繰り返され、全員で本番に向けて動きます。
決められた制限の範囲内でポイントを突いた文書をまとめたり、わかりやすいプレゼンテーションをおこなう能力は技術者ならずとも欠かせないものです。
切技研では総会発表の準備にかなりの時間を割きます。

若手委員はその過程で論旨の組み立て方、俯瞰する力、発想力、文章の構成力、パワーポイントのまとめ方などの「伝える技能」を徹底的に鍛えられます。

最近は切削実験による検証と可視化に力を入れています。
独自の視点から切削実験によって現場の課題を検証するのも、切技研ならではの取組みでしょう。

同業他社や異業種の技術者が、1台の機械の前で議論しながら呉越同舟で切削実験に挑む姿は異様に映るかも知れません。
一般にはあり得ないことですが、切技研ではそれが当たり前になっています。

呉越同舟の切削試験

呉越同舟の切削実験

1年間の活動

1月 ・新年度専門委員顔合わせ
・全体討議
・当年度テーマ案検討
2月 ・テーマ個別討議
・グループ編成
・テーマ詳細検討
3月 ・グループ討議
・切削実験計画
・ストーリ&アンケート検討
4月 ・小合宿(1泊2日)
・グループ討議
・切削実験準備
・ストーリ&アンケート検討
・文献調査
5月 ・グループ討議
・ストーリ固め
・中間レビュー
・文献調査
6月 ・工場見学会
・グループ討議
・1次切削実験
・アンケート完成
7月 ・夏合宿(2泊3日)
・2次切削実験
・アンケート回収&分析
・総会発表骨子検討
・総会発表者&特別講演者内定
8月 ・グループ討議
・アンケート&切削実験まとめ
・総会配布資料1次原稿執筆
9月 ・グループ討議
・総会配布資料2次原稿執筆
・総会発表用パワーポイント作成
10月 ・総会発表リハーサル
・1次リハーサル
・総会発表用パワーポイント修正
11月 ・総会発表全体リハーサル
・最終リハーサル
・パワーポイント修正
12月 ・総会本番
・反省会
・最終リハーサル

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総会 ~ 専門委員の晴れ舞台

総会概要

1年間の総まとめとして一般の方を集め、専門委員が研究成果を発表するのが総会。
専門委員の晴れ舞台ともいうべき切技研最大のイベント
です。
原則として12月第1金曜日におこなわれます。
会場は紆余曲折を経て1994年からアルカディア市ヶ谷(私学会館=東京・市ヶ谷)で定着しています。例年の出席者は200-250名程度です。

総会の様子

会場に入ると、受付で出席者全員に総会資料が渡されます。
会長あいさつの後、専門委員長が登壇します。
切技研が最も重要視するのがテーマ選定の理由とストーリであり、冒頭にそれを専門委員長が報告します。

その後に専門委員会報告として、3~4名の専門委員が分担して報告します。
年間テーマを受けた小テーマごとに専門委員が発表をおこなうものです。
これが総会のメインであり、専門委員にとっては晴れ舞台となります。
発表者は夏の合宿で指名されるのが恒例です。

最後に締め括りとして、副専門委員長が総括の報告をおこないます。
専門委員会報告の終了後におこなわれるのが自由討論。
正副専門委員長のいずれかが座長として仕切ることになっています。

会場を埋め尽くした大ベテランから若手までがお互いに平等の立場で活発な討論の応酬を展開します。

業種や経験年数は不問であり、削りという同じベクトルを背負って生きる技術者たちが熱い思いを共有する貴重な場です。

正副専門委員長を筆頭とする専門委員がステージ上の雛壇に並び、会場からの質問に対応します。
ときには鋭い問題提起に専門委員危うしという場面もありますが、そこは同じ削り屋の集まり。
どこからともなくタオル投入ならぬ助け舟が差し出され、大団円を迎えます。
その温かみこそが切技研伝統の「均霑の精神」と言えるでしょう。

大役を果たし笑顔炸裂の発表者〜懇親会
大役を果たし笑顔炸裂の発表者(総会終了後の懇親会にて)

 

自由討論終了後におこなわれるのは、外部から招聘した講師による特別講演。
かつては切削加工の知見に関する学術的な講演が中心でしたが、2000年以降は別の角度からものづくりに対する夢や技術への挑戦を語っていただく講演が多くなっています。

感動を呼ぶ特別講演〜川口淳一郎さん
感動を呼ぶ特別講演~川口淳一郎さん

写真は小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトリーダとして知られる独立行政法人宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎さん(2011年総会)。
幾多の困難を乗り越えて大プロジェクトを成功に導いた立役者です。
絶対にあきらめない気持ちで強力にチームを牽引したときの苦労談や自らが手がけた「はやぶさ」への尽きせぬ愛情がにじみ出た講演でした。
東日本大震災に見舞われたばかりの技術者たちに勇気を与え、「明日からまた頑張るぞ」という気持ちにさせてくれました。

特別講演の講師は毎年7月頃に運営委員が候補を持ち寄って決め、事務局が交渉に入ります。

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1966年(昭和41年)に発刊した「D.R.T.MANUAL」から最新刊の「ミーリングハンドブック」に至るまで、多くの本を世に送り出してきました。
それらはすべて第一線で活躍する技術者が現場目線で英知を結集したものです。
技術者にとって、自分の仕事の成果を本という形にできることほど幸せなことはありません。
その場が与えられているのが切技研の大きな魅力です。
出版することが決まると、専門委員会とは別個に編集委員会を立ち上げます。
出版社に頼らず、一貫して企画・執筆・編集をおこなっています。
文字通り技術者の汗と涙の結晶として読者のもとに届くわけです。
何十回も編集委員会を繰り返してまとめるので、苦労は並大抵ではありません。
それだけに全員一丸となって完成させた本を手にしたときの喜びや達成感は言葉では表現できないものがあります。
出版は不定期ですが、年度ごとの活動が煮詰まってくると、どこからともなく「そろそろこれについて書いてみようか」という機運が高まります。
一般の読者からの要望も参考になります。

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