1.3 シミュレーション結果 

1.3.1 各要素の割合比較

 本項では各要素がどの程度の割合でCO2を排出しているかを明らかにするためにシミュレーションを行った。総CO2排出量に対する各要素の割合を図2に示す。本シミュレーションの条件下では、機械の割合が大きく、水溶性切削油剤は4%しかなかった。

@加工におけるCO2排出量は、機械および工具使用に起因する比率が高い。
A機械からのCO2排出量削減
 消費電力を低減させるために、送り速度を大きくし加工時間を短縮することが望ましい。同じ送り速度では、低速高送りとすることで主軸起動電力および切削抵抗を小さくすることが可能であり消費電力低減に寄与する。
B工具からのCO2排出量削減
 工具製造時に排出されるCO2量は、超硬がハイスの3倍と大きいが、切削条件・工具寿命が大幅に向上するので、総合的には超硬工具の方がCO2排出量は削減できる。
C切削油剤からのCO2排出量削減
 コンプレッサーの使用電力が大きく、切削油剤搬送にエアーを使用する潤滑方式(ドライエアー、ミスト加工)のCO2排出量が多い。
D工具材種、工具寿命、切削条件の組み合わせによっては、ミスト加工でもCO2排出量を削減できる。(クランクシャフトの油穴明けの事例、工具材種の比較結果より)

2. まとめ
@加工現場においてCO2排出量を評価し、削減方法の方向性を探るため、加工点に着目したCO2排出量の計算式を立案した。

A立案した計算式を用いてシミュレーションを実施し、機械・工具・切削油剤の観点から、CO2排出量削減の方向性を提示した。

 今回立案したCO2排出量の計算式を用いることで、各条件を組み合わせた場合のCO2排出量の比較ができるため、現状の問題点の顕在化や事前検討段階でのCO2排出量削減方法のケーススタディーが可能となったと考える。

 また、今回は穴あけ加工のシミュレーションのみを行ったが、実施した手順で基礎データを収集すれば、旋削加工やフライス加工等の別工程での応用が可能である。

 今後は、本シミュレーションを実加工で運用し、さらに使用しやすいシミュレーションに改善していくとともに、事例の蓄積が必要である。