『第80回 切削油技術研究会総会』のご案内

 

 当研究会は企業間の壁を越え、現場に立脚した加工技術者の集団として、1954年に発足いたしました。以来64年間、一貫してその時代のニーズをテーマに取り上げ、専門委員がそれぞれの現場で得た知識やノウハウを持ち寄り、共同調査・研究を重ねて参りました。その成果は、毎年の定期総会で広く一般の皆様にもご報告するとともに、『穴加工皆伝』『研削加工皆伝』『切削油剤ハンドブック』などの刊行物によって、皆様にお役に立てるべく努力を続けております。

 さて、日本のものづくりが、大きな転換期を迎えていることはご承知のとおりです。電動自動車の普及はもとより、航空機産業や重電産業、医療産業などにおいても、これまでとは違った思想の製品設計がなされ、加工を難しくしています。これら、製品ベースの次世代技術に対して、加工においても次世代の技術を上手に取り込んでいくことが、競争力を維持するためには重要です。しかし、ものづくりの現場に次世代の技術を取り込むためには、大きなブレークスルーが必要となるのも事実です。そのため、既存技術を組み合わせたり、新たな使い方を見出したりすることで、対応しているのが現状だと思われます。

 そこで本年度は、製造現場における次世代技術の取り組み状況と、既存技術の活用状況を調査するとともに、いくつかの実験によって、既存技術を活用する工夫について検証しました。切削油剤のかけ方による工具寿命への影響調査、加工シミュレーションによる切削温度域の解析結果と高能率加工の条件選定、加工による残留応力の影響調査について報告します。

 特別公演では、株式会社エアロメカ 代表の安藤 隆幸氏より、『振動技術者がひもとく零戦開発秘話』と題し、零戦の実用化において障壁となった振動問題に焦点を当て、その原因と課題克服の過程を当時のエピソードを交えながらご紹介いただきます。ご多忙中とは存じますが、多数の方々のご来場をお待ちしております。。

 

2018年12月7日 (金) 10:00〜17:00
会場  アルカディア市ヶ谷 私学会館〔3F大ホール〕
本年度も多数の皆様にご参加賜り、盛況のうちに終了しました

 

 

 

プ ロ グ ラ ム
  司会 運営委員 石川 雅之
荻野工業(株)

開会の挨拶

10:00~10:10
会長 村上 靖典
三菱マテリアル(株)

《テーマ:次世代のものづくりへつなげる既存技術の活用》

専門委員会報告にあたって

10:10~10:15
専門委員長 上田 誠
三菱マテリアル(株)

専門委員会報告

次世代技術の導入課題と既存技術の有効活用

  10:15~10:50
専門委員 太田 修介
(株)牧野フライス製作所

 産業の進化が速くなってきている中、日本のものづくりの未来は不透明である。本章では文献から日本の現状と課題、各業界の動向と切削ニーズ、次世代技術の動向、アンケートから製造現場における加工改善の取組実態を調査した。それらの結果より見えてきた次世代技術の普及への課題と既存技術の実状を紹介し、次世代のものづくりにつながる知見を報告する。

 

❷切削油剤は刃先まで届いているのか
  ~届けるための工夫と効果に関する実験~
10:50~11:25
専門委員 徂徠 義章
住友電工ハードメタル(株)

 切削中の加工点付近は隙間が狭く、また高温であるために切削油剤は刃先へ届きにくい。本章では刃先まで油剤を届かせるためにかけ方を工夫し、刃先近傍に油剤が到達することで、工具寿命延長につながるかを確認する実験をおこなった。これらを通して得た知見から、工具寿命延長につながる切削油剤のかけ方の工夫を提案する。

 

❸耐熱合金加工の高能率化の検証 11:25~12:00
専門委員 髙木 優次
三菱マテリアル(株)

 ものづくりにおいて、生産性向上に寄与する高能率加工は生産現場からのニーズが高い。しかしながら、耐熱合金などの難削材については、他の材料と比較すると周速、送り共に低く、高能率化が実現できていない。そこで、エンドミルを使用したインコネル718の加工実験より、高能率化の阻害要因を調査し、工作物形状ごとに適した加工条件の設定方法を提案する。

 

昼 食 12:00~13:00

 

薄肉加工における残留応力の影響と対策を探る
13:00~13:35
専門委員 中嶋 孝之
オーエスジー(株)

 部品の軽量化に伴う薄肉化が進むと切削の残留応力によるひずみが顕在化する。生産技術者には生産準備サイクルの短縮が求められており、残留応力の影響を事前に知り対策する必要がある。本章では薄肉部品の加工を模した実験を通して残留応力の影響を調査し、対策を検討した。

 

まとめ 13:35~13:45
副専門委員長 松野 佑也
UDトラックス(株)

 本年度の活動を総括し、調査・実験で得た知見を基に次世代のものづくりへつなげる既存技術の活用について提案する。

 

テーマに関する自由討論
13:55~15:10
(進行役) 副専門委員長 服部 誠
富士精工(株)
休 憩 15:10~15:25
特別講演 15:25~16:50
『振動技術者がひもとく零戦開発秘話』
(株)エアロメカ 代表 安藤隆幸

 いまから80年以上前の1937年に開発がスタートした零式艦上戦闘機 - 零戦(ゼロ戦)。その性能の高さは世界的に広く知られている。コンピュータはもちろん電卓さえもない時代にこのような優れた工業製品が生み出された背景には未開拓領域で困難な課題に挑むエンジニアやパイロットの方々の絶え間ない努力があった。本講演では零戦の実用化において特に大きな障壁となった振動問題に焦点を当て、その原因と課題克服の過程を当時のエピソードを交えながらご紹介する。

 

閉会の挨拶 16:50~17:00
運営委員長 横内 正洋
神奈川県立産業技術総合研究所
   

 本年度は『フライス加工ハンドブック』の刊行から30年を経て、後継版と位置付ける『ミーリングハンドブック』を発刊いたします。マシニングセンタによるミーリングを中心に、事前準備から治具の工夫、ツールパスの選択にいたるまで、加工のノウハウを凝縮した一冊です。是非お役立てください。