第77回総会(2015年12月)
 当研究会は昨年2014年に創立60周年を迎え、近10年の加工技術と生産現場の動向を振り返りました。 
 生産拠点のグローバル化、ボーダレス化が加速する中で、日本のものづくりは国際競争力の強化を迫られてきました。しかしながら、真の意味での国際競争力を身につけるには、コスト競争ばかりでなく、新しい技術を創出することが不可欠となってきます。新技術の創出に向けて当研究会は、既存技術を系統立てて整理し、その活用方法を多くの技術者に向けて広く提案することを考えながら、今後の活動に取り組んでまいります。本年度は、ミーリングに改めて焦点を当て、生産現場の困りごとを想定した4つの検証実験をおこない、その結果からトラブル抑止に有用な知見を報告いたしました。 



 調査・研究報告
@ エンドミル加工における諸条件の加工誤差への影響調査
工具径、突き出し長さ、切り込み量、切削条件の加工誤差への影響を報告した。
A ボールエンドミルによる高硬度材の斜面加工の評価
高硬度材の同時5軸制御加工におけるボールエンドミルの傾き角と加工パスが及ぼす表面性状への影響を調査し、高精度な加工を実現するために必要となる知見を紹介した。
B バリへの対応技術 〜正面削りのバリを予測
入口バリに着目し、バリの発生箇所を予測、コントロールするための実験を行った。その結果をもとに、生産設計について提案した。
C 複数パスの正面削りにおける段差の抑制
 ツールパスが複数回になる正面削りでは、パスごとに段差が発生しやすく、製品精度の保証が難しい。今回は、平面に生じる段差生成のメカニズム調査した。

 特別講演
@ 『切削加工の現状と技術動向』
東京電機大学 工学部 機械工学科
 松村 隆 教授
 輸送機、医療、情報、エネルギ等の産業分野において切削加工の需要は多く、近年では難削材料や複合材料などの新材料の利用とともに、切削に対する要求が厳しくなっている。また、工具技術の進歩とともに、ガラス等の硬脆材料の切削、0.1 mm以下の微細切削が可能になり、切削に対するさらなる可能性も期待されている。本講演では、切削加工における現状を難削化、複合化、硬脆化、微細化の観点から説明し、その研究開発を説明する。また、最近の切削シミュレーション技術の動向について触れ、シミュレーション導入における課題と今後の切削作業改善にむけたシミュレーションの利用についても解説した。